私がまだ中学生から高校生の時は、LPレコードを買うお金が無かった。勿論レンタル・レコード店も無かった。友達同士でレコードを貸し借りするのだが、キズを付けないようにとても気を使った。静電気防止のスプレーを使うかどうか、プレイヤーの針圧は適切か。
だから音楽を入手するのは、FM放送を録音するのが主流だった。少しでもいい音で受信しようとしました。またFMでは、レコード化されない、来日したアーティストのコンサートが放送されることもあり、貴重な音源でした。発売前にLPほぼ1枚を放送する番組もあり、重宝しました。だから大切だったのは、何が放送されるかの情報です。
しかし新聞のFM放送の番組表からは、何も分かりません。情報を入手するのに必要だったのが、「FM fan」「週刊FM」「FMステーション」などの隔週誌でした。マーカーペンで、2週間分の番組を細かくチェックしたものです。私は大阪に住んでいましたので、あの頃はFM大阪とNHK-FMの2局しかありませんでした。でも当時録音したテープは今でも残っています。
今の若い音楽ファンの人達は、レンタルですぐに音楽を聴くことが出来る。私のようにある程度の年齢になれば簡単にCDを購入出来る。今は恵まれていると思います。でも苦労して入手した音楽の方が忘れないものです。今でもあの頃好きだったアーティストのCDを聴いています。紙ジャケットのCDも、我々の時代の愛すべき財産です。最初からCDで発売される現在のCDには、なつかしい「紙ジャケット化」はありませんから。